今回は発達障害(ADHD含む)の方が抱える「皮膚感覚の困難」について、東京学芸大学の研究をもとにお話しします。
私自身もADHDの診断を受けてます。この研究結果を読んで

あ、これ私にも当てはまるかも
と思う部分がたくさんありました。
研究で分かったこと:皮膚感覚の困難は本当にある


困難の実態
この研究では、発達障害の診断を受けた124名と一般学生113名を比較調査しました。
結果は驚くべきもので、発達障害の方の皮膚感覚の困難は、一般の方の約3~8倍という高い割合でした。
特に多かった困難は:
触覚の問題
- 首のタグがちくちくして耐えられない(25.0%)
- チョークの粉が苦手(24.2%)
- 服が濡れて肌に張り付くのが我慢できない(19.5%)
- ウールの服がちくちくして着られない(16.4%)
圧覚の問題
- 低気圧で空気が重く感じる(16.4%)
- ゴム手袋や指サックが嫌い(10.9%)
- 靴下が痛い(5.5%)
物理的距離の問題
- 人から近寄られるのが好きではない(24.2%)
- 電車で挟まれて座るのが苦痛(21.2%)



気になるのは触覚だけではないんです
なぜこんなことが起こるの?


研究によると、皮膚感覚には2つの働きがあります:
- 防衛的反応:外界から身体を守る本能的な反応
- 識別的反応:触った質感で「これは何か」を判断する機能
発達障害の場合、この2つがうまく統合されていないため
識別機能が働かず、防衛的反応が過剰に働いてしまうのです。
生活を楽にする実践的なアドバイス


衣類選びのコツ
素材にこだわる
- 綿100%の服を選ぶ
- 同じ素材で色違い・柄違いを数枚揃える
- 顔や手に当てて肌触りを確認してから購入
タグ問題の解決
- 洋服のタグは必ず外す
- タグを外せない服は買わない
- 縫い目が気になる下着は裏返して着る



背中がチクチクして気になります
快適な生活環境づくり


寝具の工夫
- 好きな肌触りの毛布やぬいぐるみを用意
- 重めの布団を選ぶ(軽い羽毛布団は避ける)
- シーツで身体を包むと落ち着く
入浴・清潔用品
- 液体石鹸を使う(固形石鹸が痛い場合)
- 自然素材の石鹸を選ぶ
- 汗をかいたらすぐシャワーを浴びる



自然由来・液体の石鹸ならこちらがオススメです


ストレス軽減のテクニック
圧迫刺激を活用
- タートルネックで首回りの圧迫感を得る
- きつめの腕時計をつける
- 弾力のあるボールを握る
- マッサージでリラックス
安心できるアイテム
- ポケットに滑らかなものを入れておく
- 小さなぬいぐるみを持ち歩く
- カーブしたものを指でなぞる
周囲の理解を得るために


相手に伝えるポイント
- 「わがまま」ではなく、脳の機能的な違いであること
- 具体的にどんなことが困るかを説明
- 代替案も一緒に提示する
例:「化学繊維の制服が痛くて集中できません。綿素材のものに変更していただけませんか?」
筆者の体験談
私自身、この論文を読んで改めて気づいたのは、無意識に行っていた対策がたくさんあったことです。
例えば:
- 同じブランドの同じシリーズの服ばかり買っている
- 混雑した電車では必ず端の席を選ぶ
- ストレス用のスクイーズボールを常備



スクイーズボールを握ると安心します


まとめ:自分を責めないで
皮膚感覚の困難は、発達障害の方にとって非常にリアルな問題です。



「気のせい」「甘え」ではありません
研究でも明確に証明されています。
大切なのは:
- 自分の特性を理解する
- 無理をしない対策を見つける
- 周囲に理解を求める
- 自分を責めない
一人ひとり感じ方は違います。この記事を参考に、あなたなりの快適な生活スタイルを見つけてくださいね。
参考文献 笹ケ瀬菜生・田部絢子・髙橋智「発達障害者の『皮膚感覚』の困難・ニーズに関する研究」東京学芸大学紀要 総合教育科学系Ⅱ 66: 73-106,2015.
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